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が、少なくとも電子商取引の導入期においては、使用者の不安を少しでも減らすことが大切であると思われるので、どちらかといえばプライバシーの保護に配慮した方式をとることが望ましいと考えられる。

 

(3) デファクトスタンダードとの適合性

暗号技術や商取引システム等、電子商取引には多くの情報通信技術が採用されているが、これらの情報通信技術は自由競争の結果として、ある特定の商品・規格による独占的状態となる(デファクトスタンダード化する)ことが多い。このデファクトスタンダードを考慮せずに議論を進めてしまうと、制定された法制度がそれと齟齬をきたすものになってしまう恐れがあるが、そのような場合いったん出来あがった標準を捨てなければならなくなる可能性があり、その社会的コストは非常に大きいと思われる。こうした事態を避けるため、法制度の整備にあたっては、デファクトスタンダード等世の中で起きている標準化の動きを注視して、それと整合性のあるものを作っていく努力が必要とされるであろう。

 

(4) 国際動向との整合性

現在米国を始め欧州、アジア等世界中の国々で電子商取引に対する取り組みが進んでいる。現在は実験段階にあるものがほとんどであるため、世界標準化への動きはそれほど進んでいるとはいえないが、今後、電子商取引が実用段階に入ってくると、国際取引上の便宜性から、システムや暗号技術、商取引上のルール等について世界的に標準化の動きが高まってくると思われる。そのため、今後我が国でも実験事業等を通して電子商取引の改善点が見つかってくると思われるが、こうしたデータが一通りそろってきた段階で、他国との情報交換を通じて、協力してルール作りを行っていく働きかけが必要となるであろう。

 

 

 

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